可能な限り歯を残すための「根管治療」
根管治療は、むし歯が進行して歯の神経まで到達した場合に行われる治療で、抜歯を回避するために行います。歯の根管内に菌が侵入すると、神経や血管を蝕み、歯が機能しなくなります。根管治療は複雑で時間がかかりますが、成功すれば歯の寿命を延ばすことができます。歯に痛みやしみるなどの症状がある場合は、早めの治療が重要です。
再発リスクを抑えた当院の根管治療
的確な根管治療を実現する「拡大鏡」
拡大鏡を使用することで、より正確で精密な根管治療が可能です。患部を拡大して確認でき、歯科医師の経験や技術に左右されていた治療の成功率を大幅に向上させます。
正確な診断が可能な「歯科用CT」
根管内は肉眼では直接確認できないため、歯の根の複雑な構造を把握するのは困難です。従来のレントゲンでは、根の全てを確認することが困難でしたが歯科用CTを使用することで、歯の内部構造をより詳細に確認できます。歯の神経の本数や形状、根の先の状態など、治療に必要な情報を得ることが可能です。
再治療のリスクを軽減する「ラバーダム」
人の唾液にはさまざまな細菌が含まれており、治療部位にこれらの菌が侵入すると、術後に再感染のリスクが高まり、根管治療のやり直しが必要となることがあります。外国の根管治療では、ラバーダムの使用が一般的ですが、日本では専門医でもその使用率は19%にとどまるとの報告があります。保険治療ではほとんど使用例がないのが実情です。ラバーダムの使用により、唾液の侵入を完全に防ぎ、根管の再感染リスクを軽減するだけでなく、根管治療をスムーズに進めることが可能となります。
ラバーダムと同等の防湿機能がある「ZOO」
当院では、ラバーダムを使用できない症例においては、ZOOを用いて無菌状態で治療を行います。ZOOは、チューブ型のデザインで、歯の周りを囲むように配置されており、チューブの先端にある小さな穴から口腔内の水分を吸引します。根管治療において、防湿と乾燥が非常に重要です。根管内に唾液などが混入してしまうと、再発リスクが高くなります。ZOOを使用することで、処置中の防湿と乾燥を徹底的に管理することができます。
根管治療の流れ
1むし歯の除去
むし歯が歯の内部に深く侵入している場合、まずはむし歯を徹底的に取り除きます。
2補綴物の除去・拡大
次に、歯の内部にある補綴物(詰め物や被せ物)を取り除き、根管治療の患部をより見やすく拡大します。
3根管内をむし歯菌除去・洗浄
専用の歯科用器具を使用して根管内部を洗浄し、むし歯菌に感染した神経や血管などを除去します。洗浄によって根管内部の感染物質を除去し、再発のリスクを軽減させます。
4根管充填
根管内部の空洞を埋める根管充填を行います。根管内部に細菌の繁殖場所を残さないように、歯科用のセメントを流し込んで埋めます。
5根管の密封・土台の設置
根管の封鎖を確認し、被せ物が安定するように歯を削った部分を埋めたり、必要に応じて支台(コア)を造成したりします。
6被せ物を装着
被せ物を装着します。そして、最後にかみ合わせを確認して問題がなければ、根管治療は終了です。むし歯を再発させないために定期検診を受けましょう。
むし歯の再発させないために最後まで通院しましょう!
根管治療は、根管内部の複雑な形状を完全に清掃・消毒する必要があるため、複数回に分けて行わざるを得ません。それだけ通院回数が増え、患者様にも負担がかかってしまいます。また、治療中は仮歯で仮止めを行い、放置すると再び感染のリスクが高まります。通院は大変かもしれませんが、最後まで継続することが重要です。また、根管治療終了後も定期検診を受けて、健康な口腔内の状態を維持しましょう。
EMAT(高周波根尖療法)とは?
EMAT(電磁波根尖療法、Electro-Magnetic Apical Treatment)は、従来の根管治療では対応できなかった感染源に対して、電気エネルギーを利用して焼灼し、骨を再生させる効果のある治療法です。この治療は、体内に本来存在する「骨芽細胞」を活性化させ、溶けてしまった歯を支える骨(歯槽骨)を再生させることを目的としています。根管系は非常に複雑で、ファイルや薬剤を使って化学的・機械的に清掃することが困難な未切削領域が存在します。もしその領域に感染が広がると、除去や殺菌が難しくなり、治療が難航することもあります。
例えば、以下のような症状にお困りの方に効果が期待できます。- 歯ぐきが腫れて膿が出ている
- 根管治療後も痛みや腫れが治らない
- 歯を支える骨が溶けてきている