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歯ぎしり・食いしばり

歯ぎしり・食いしばりとは?

「歯ぎしり」と聞くと、多くの方が「夜間、眠っている間に無意識で行う癖」として思い浮かべるのではないでしょうか。実際、ギリギリ・ギシギシと音を立てて歯をこすり合わせるこの行為は、睡眠を共にするご家族にとっても大きなストレスとなり得ます。しかし、歯ぎしりの問題はそれだけにとどまりません。実は、ご本人の歯や顎、さらには全身の健康にも深刻な悪影響を及ぼす恐れがあるのです。人間の噛む力は、一般的にご自身の体重ほどの強さと言われていますが、無意識下での歯ぎしりでは、それをはるかに上回る力が加わることもあります。中には、1トン以上の圧力がかかっているケースも報告されています。これほどの強い力が毎晩繰り返されることで、歯や顎への過剰な負担となり、歯のひび割れや破損、顎関節の痛みなど、様々なトラブルを引き起こすリスクが高まります。こうした問題を未然に防ぐためには、歯ぎしりや食いしばりによる負荷から歯を守る対策が重要です。マウスピースの使用をはじめ、専門的なケアをご検討いただくことをおすすめいたします。

歯ぎしり・食いしばりの種類

歯ぎしり・食いしばりによる悪影響

  • 歯がすり減る
  • 歯にひびが入る
  • 歯が割れる
  • 顎関節症になる可能性が高まる
  • 歯ぐきが下がってくる場合もある
  • 歯周病の進行を早める

歯ぎしり・食いしばりの対策

マウスピースの装着(スプリント療法)

スプリント療法とは、夜間に専用のマウスピース(スプリント)を装着することで、歯ぎしりや食いしばりによる悪影響を軽減する治療法です。このマウスピースは、歯の摩耗や破損を防ぐ保護装置として機能し、強い咬合力が加わった際も、その力を歯列全体に分散させることで、顎関節や歯茎への負担を和らげる効果があります。 通常、スプリントは就寝時に装着することが一般的です。装着初期には違和感を覚える場合もありますが、継続的な使用によって徐々に慣れていくケースがほとんどです。なお、スプリント療法は歯ぎしりや食いしばりの直接的な原因を取り除くものではありません。そのため、治療と併せて、日常生活においてストレスを過度に抱え込まないよう意識することも大切です。包括的なケアによって、より良い口腔環境と生活の質の向上を目指すことが可能となります。

ボツリヌストキシン製剤療法

ボツリヌストキシン製剤療法は、「ボツリヌス菌」という細菌が作り出すたんぱく質(ボツリヌストキシン)を、筋肉に注入してその働きを一時的に緩める方法です。
もともとは、まぶたや顔のけいれんの治療、美容外科でのシワ改善やエラの縮小などに広く使われており、安全性が確立された治療法です。
歯科医院では、咬むときに使う「咬筋(こうきん)」という筋肉の緊張を和らげることで、歯ぎしり・食いしばり・顎関節症などの症状を軽減・改善する効果が期待できます。
使用する薬剤は、ボツリヌス菌そのものではなく、菌から抽出されたたんぱく質の一種です。そのため、ボツリヌス菌に感染する心配はありません。
当院で行う咬筋ボツリヌストキシン注射は、美容目的ではなく、あくまで医療としての治療です。治療の前には、咬筋の筋圧を丁寧に測定し、お一人おひとりに合わせた安全な施術を行います。

効果の持続期間

一般的に、抑制効力は初回は3ヶ月程度、2~3回目の注入以降からは6ヶ月程持続すると言われています。
(※効果の感じ方には個人差があります。)

ストレスの緩和

ストレスを溜めこみすぎた結果、歯ぎしり・食いしばりの症状が悪化する可能性があります。運動する、友人との時間を過ごすなど、ご自身に合った方法でストレスを可能な範囲で溜めないようにしましょう。

定期的に歯科医院でかみ合わせを確認する

歯ぎしり・食いしばりを長期間していると、歯がすり減ったり、かみ合わせが悪くなったり口腔内環境に変化があります。その変化を見逃さないためにも、定期的に歯科医院に通院し、歯科医師による確認を受けることをおすすめします。